2012年2月2日木曜日

始めは終わり、終わりは始まり


わたしの好きな和歌のひとつに、額田王(ぬかたのおおきみ)の次の歌があります。
熟田津(にきたつ)に船ふな乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな(万1-8
この歌の歴史的な背景はともあれ、いつもこの歌はわたくしのこころを惹き付けて来ました。そうして、折に触れ、この歌を思い出すのです。
やはり、人生には潮目というものがあり、また潮の流れというものがあると、譬喩(ひゆ)として、考えることができます。
今はそのとき、船乗りせむとする時だと、わたしは思います。
終わりから人生を始めることが、わたしの人生の始めに決心したことでした。
この志に全く相応しく、(歳が明けましたから)9年前の、わたしが発行していたメールマガジンの原稿が、恰も神が指し示したかのように、今朝わたしの目の前に現れました。
探しても見つからない筈のものが、ひとりでに現れたのです。
このFool on the Netというブログの端緒を如何にすべきか、どこに求めるかということを、ずっと待っていたのですが、今がそのときかと思い、この文章がそれかと思いました。
実は、このFool on the Netというブログは、わたしが死ぬまで書き続けようと思っているブログなのです。
以下に引用して、このブログの終わりとし、また同時に(同時にとは何か?です)始めといたしましょう。
終わりを始めに置き、始めを終わりに置く事こそ、わたくしの人生に相応しい。
以下引用です。
英語圏eマーケティング事情
2004/03/21 配信
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 □□□□□□   「英語圏eマーケティング事情」
 □■■■□□   2004/03/21 第40号 
 □■■□□□        【最終号】
 □■■■□□     発行部数:驚異の250部!
 □□□□□□    *個衆のためのeマーケティング* 
 wwwは、さざ波の形に似ていますね
            関連サイト:http://emkg.com
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さて、今週号が、いよいよ最後の号となります。

2週間前よりある企業に勤務を致しましたが、同時にeマーケティング普及協
会を主宰して収入を得ることは、当然のことながら就業規定に抵触するので
す。本年3月5日付けにてeマーケティング普及協会を廃業し、同時にこのメ
ルマガも廃刊といたします。

昨年の8月にメルマガを発行し、11月にeマーケティング普及協会を開業
し、12月の暮れにウエッブ・サイトを開設するという、この8ヶ月に満た
ない間に、それ以前から収集し、知るに至った英語圏eマーケティング事情の
情報を、メルマガの題名通りに、発行して参りました。これは、ウエッブ・
サイトの目的にも掲示しました通り、内外の情報格差を埋めるためです。

まったく無償で行って参りましたメルマガの発刊ですが、eマーケティング普
及協会の設立と同時に商業的な色彩を帯びることを回避することはできませ
ん。

しかし、その役割は、十分に果たしたのではないでしょうか。いかがでしょ
うか。

最終号の発刊に当たって、少しだけ問題提起をしておきます。どうかお考え
下さい。これらのことは、早晩社会的な問題となるばかりではなく、情報起
業をお考えの、あなた自身のこころの問題、倫理の問題に直接なることで
しょうから。

(1)会社勤めをしていて、週末起業なり情報起業をする場合に、就業規則
違反の問題をどうするのか。
(2)この二重生活は、なにがしかの嘘をつくことを社会に対して余儀なく
されるが、その個人は、そのことをどうやって解決するのか。

こうして書き留めてみても、やはり人間の歴史に戻る以外にはないように思
えます。

情報起業をし、週末起業をしても、結局また、個人と社会の調和という問題
に直面することになることでしょう。ひとは、ある尊敬に値する人格を備え
たひとのために仕事をするのでなければ、自分の人生をむなしく感じるとい
うこと、他方、それだけでは、自分の人生がなにものであるかに確信が持て
ないので、普遍的な理念を思想として求めるということ、この間に、情報起
業者は、悩む筈です。その矛盾にあって、徳目や美徳という価値の実現を自
らに求めて自己を鍛錬するということに戻ることでしょう。

それは正しい道でしょうか。正しい道とは、一体どのようなものでしょう
か。

つまり、わたしが今あなたに問うているのは、情報の価値は何に拠るのかと
いうこと、情報は何から、何故生まれるのかということなのです。

勿論国家も、個人に先駆けて、これらの問題を解決しなければならないはず
ですが、通信の発達で、個人の思考速度の方が、国家の思考速度よりも圧倒
的に現実的に勝ってしまいました。自分で考える以外にはありません。制度
の変革はかくも遅いのです。しかし、またわたしは、皮肉にも、あなたにこ
のように問うのです。

あなたの変革の速度は如何、と。

わたしは、最近もまた思ったことに、人間の社会が正気であるというのは、
個人個人のもっている鈍感さ、鈍さ、鈍い感覚があってこそだということが
あります。変革を拒否し、拒絶し、否定する意識であり感覚です。それを正
気というのではないでしょうか。勿論、これは反語的な疑問文です。どう
か、お考え下さい。

わたしが16歳のときに書いた人生の計画書は、30歳までは理論を、50
歳までは実践を、50歳でそれまでの人生の総括を、そうして白紙で残りの
人生を考え、87歳でこの世を去るというものでした。そうして、50歳ま
では、結果として、この通りに実行して参りました。その計画書は、今額に
入れてわたしの部屋に飾ってあります。同時に16歳の少年の7つの問い
も、です。それは、つぎのような問いでした。

(1)わたしの社会的位置づけはどこにあるのか?
(2)わたしの環境に対する私のとるべき態度はいかなるものか?
(3)上記(1)と(2)に関する思考法はいかなるものか?
(4)何が真理であり、何が善であり、美であるか?
(5)わたしはどうやったら精一杯生きられるのか?人生は一度きりであ
る。
(6)「日本脱出」をこころみるべきである。いつ?どうやって?
(7)わたしの究極の目的は何であるのか?

この少年の問いは、そのまま上記の情報起業家の、これから直面する、21
世紀の個人と社会の問題ではないでしょうか。容易なことではありません。

さて、これを論じるとまた最終号も幾つもに分けて出さなければならなくな
ります。これくらいといたしましょう。

最後に、この8ヶ月に満たない間に、直接間接にお会いし、知遇を得ること
のできたかたたちは、これはもう、多士済々というべきかたたちでした。陰
に陽にご指導をいただきました。お礼を申し上げます。また、あなたには、
このメルマガをお読み頂き、誠にありがとうございました。あなたも、その
多士済々の一人です。

名残は尽きませんが、これで擱筆致します。

さようなら。

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      *個衆のためのeマーケティング*
     wwwは、さざ波の形に似ていますね 

          岩田英哉(いわたえいや)
   
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