2014年5月10日土曜日

我が友、西村幸祐へ:アメリカとは何か?(アメリカ論)


2014/05/07


西村へ、

貴君の「アメリカの夢は終ったのか?」というアメリカ論(「撃論ムック(22)・アメリカとは何か」所収。平成22年10月22日発行号)、拝読しました。いい論でした。

貴君のアメリカ論に触発されて、以下のようなことを考えましたので、お伝えしたいと思い、筆を執りました。

僕が西村に、あの2011年3月11日の大震災の直後に、あの大地震と大津波は、日本人には尊王攘夷という作用を及ぼしたのだと書いて、送ったことを覚えていますか?

同じように、2001年の9月11日は、アメリカという国とアメリカ人にとっては、どのような作用を及ぼしたのかと問い、考えることは、日本とアメリカの関係を考える上では、大変意義も意味もあることだと思います。

他方、西村よ(と、こう呼びかけるとまた貴君にあって直接話しをしたいという衝動にかられます)、実は最近英語とドイツ語でマルクスとエンゲルスの書いた『共産党宣言』をキンドルでダウンロードして読んだのですが、これを読んで、今このアメリカ論との文脈でいうならば、これはやはりキリスト教の延長であって、即ち終末思想と方舟思想の宣言文(Manifesto)だと思いました。

即ち、この近代の白人種の国家を担って来た富裕なビジネスマン(商人)の中産階級は間違いなく滅びるから(その歴史的な根拠は全く示されていない。何しろ歴史を拒絶するという考え方で、その言葉が終始一貫書かれているのだから)、いづれこの資本主義という世は滅びる、だからプロレタリアートが団結してノアの方舟をつくって(というよりも、その船はもう、あんたが自分をプロレタリアートだと呼べば、乗船の資格が賦与されるのだと言っているように聞こえる。しかし、一体だれがその資格を賦与するのだ?それには、答えていないのである。それを歴史の、根拠の無い予想(馬券の予想の方がまだあたるだろう))、今こそ乗船すべきときなのだと、このマニフェストを出して、煽動しているのである。

アメリカという国は、近代ヨーロッパの、即ちイギリスとフランスとドイツの国の、そうしてそこでは住めなかった異端の人間たちの、言わばそれらの国では、言い過ぎかもしれないが、犯罪者であるような人間達のつくった国である。そういう意味では、オーストラリアは、白人近代国家から排除され、強制的に遠島の刑を受けた犯罪者そのものの国である。そうして、原住民(というべきか?)を虐殺した。これも、アメリカにそっくりである。

さて、何を言いたいか。アメリカという建国の仕方は、ヨーロッパ世界の歴史とその在り方に絶縁を宣言して、しかもインディアンの大量虐殺の上に、それから黒人をアフリカから攫(さら)って来て、そしてその奴隷貿易で生んだ富を築き、そうして、それらの事実を全く忘れるようにして出来上がった国であるということが、その国の国の姿を表していると思うのだ。

即ち、それは共産党宣言にあるように、はい、西暦何年何月にこの新しい国ができたのです、それ以前には歴史はありません、なぜならこの国家の成立の仕方が、それを赦し(或いは許すという文字で書くか?)たまふからである。と宣言した国家であるからだ。

という、この一点において、わたしの考えでは、アメリカという国家は、そもそも共産主義的な国家なのである。これは、資本主義と民主主義の鬼子である。上の(前の)段落が、そのイデオロギーの本質(空無の)である。

即ち、一体だれがその国家の成立をゆるすというのか?同じ問いを問うと、共産党とその国々もアメリカも回答はできないし、沈黙をまもり、無視するのだ。その理由は、自国の存在するその歴史を直視し、正視することができないからだ。何故なら、そこには犯罪というべき残酷な歴史的な事実があるからだ。自国の歴史を直視、正視できないということ。これが論理的な、共産主義国家の特徴的帰結のひとつである。従い、そうして、(内側にではなく)外側に向って、膨張的な侵略を開始するのだ。実体はなく(無という言葉を使うことさへためらはれるよ、西村、この尊い言葉を)、これを、わたしは貴君の読んでくれたブログ(http://abekobosplace.blogspot.jp/2014/05/blog-post_6185.html
)で、アメリカを贋物の国と呼び、数々のアメリカの作った贋物の名前をあげたのである。今この文章を書いている時点で、ここに書いた考えは一層深まり、アメリカ人が何故ジーンズを発明し、アメリカ人がはき、また全世界に広まったのか、その理由をいうことができる。これはまた貴君に会ったときに話したいと思う。

この贋物性を白日の下にさらすということは、戦後の日本人の目を覚まさせる力があるだろう。(貴君のアメリカ論に、それは間違いなく現れることだろう。アメリカのいう民主主義が贋物であり、即ち共産主義であるとは!更に即ち、共産主義とは、イデオロギーを信じたふりをする、従い自分の慾にあかせまかせて道徳のない特権階級と、対照的な苦しむ貧しい民とに分極するということであるとは!)

さて、9.11はどうであったか。

あの金融の中心地のふたつの塔に飛行機で突入し、それを破壊したということは、アラブの人間のこころを示していると思う。アメリカよ、滅びよ、ということである。この資本主義、海外に植民地をつくり、あらゆるその地域と国の富を強奪し、収奪し、ただただ白人種が富めばよいという考えでそれ以外の国と民を苦しめて来た、その国よ、滅びよということである。

この主張は正しいのではないか?もし、あの事件をそのように解釈するならば。

即ち、アメリカ人は、独立をした18世紀の後半の独立戦争以来、久し振りで、自国の領土(これもインディアンから奪い取った領土であるが)で、外敵に直面したのである。それは、今回は、同じなじみの白人種ではなかったということが大いに違い、アラブの、中近東の、アメリカよりも優れた、歴史も長く深い豊かな文明圏からの宣戦布告であり、その被害であると言っても、全く異質の者からの攻撃である。これは、おい、お前達イギリスやフランスの収奪した地域ではないか、お前達が責任をとってくれというのが、言葉にならないアメリカ人の言葉だと思われる。そうやって、外交は動くであろう。但し、アメリカの経済が資本主義を使って、うまく行く限りは。

あの9.11の一撃は、アメリカという贋の国家からも、その経済的な、ということは従い、政治的な実体(と思っていた贋の姿)を崩壊させたのである。

それ故に、リーマンショックも、当然のことであるのだ。アメリカ人の思考が、衰弱しているのだから。それが、このアメリカ人の現実の姿だと思う。金融工学と呼ぶ、その錬金術の理論が成立するためには、哲学がなければならない。しかし、アメリカに哲学はないのだ。プラグマチズムがあるのだ。これは、哲学ではない。前者は、それは何かという問いに答えて生まれる体系であるが、後者はどのようにという問いに答えるだけであるからだ。わたしには、そのように思われる。

さて、そこで、どこにその弱気は逃げ込むか?

1。ディズニーランド、即ち自分自身の贋物の世界へ
2。ヨーロッパの歴史の中へ、自分の源流を尋ねて(そういえば、以前、黒人の作家の著した、Rootsというnon-fictionがはやったよなあ。それは、白人種の自分自身の求めるものであったなあ。Negative mirrorという意味で。否定的な鏡としての黒人という意味で。白人が自分の姿をみるための。といえば、これは、何故アメリカ人がジャズを受け容れたかということの説明になるなあ。その鏡に映る黒いみずからの(罪の、贖罪の)姿を決して肯定し、その歴史と現実を直視し、正視することができず、忘却して、この人間の深い深い(忘却という)原理的な世界に埋没し、われをもひとをも忘れて、神聖な世界、the holynessを恢復しようというのである。これが、アメリカ人の白人であり、アメリカ人である。)

オバマという大統領も、こうして、日本人に原爆を落として大量に虐殺をしたという罪のつぐないを、しているのだ。即ち、それを悔いるのではなく、忘却することによって、ある神聖性を呼び込むためにである。これは、ある種の詐欺である。Fraud。自分自身に対する詐欺である。天皇陛下に額ずくオバマを信用してはならないのだ。

だから、阿呆な、日本の左翼という、アメリカの育てた気違いどもと同じことをいう大統領がアメリカに生まれたのだ。原爆を否定し、それで、ノーベル賞をもらって、何になろう。日本の第9条をノーベル賞にしようなどという愚かな、近頃の発想と全く同じ、オバマの発想である。アメリカという国家が日本に落とした原爆に、その因果が報いて、アメリカのその大統領の仇(あだ)になったということだと思うが、どうだろうか。

もうノーベル賞は終りにしたらよいとおもう。霊峰富士山を世界遺産にするなどという愚かなこともやめにすべきであった。愚かな日本人よ。と、わたしはそう思うのである。白人種にそんなに認められたいのか?もうそんな時代ではないだろう。それが、あの3.11であり、9.11であらうと、そう思うのだ。

いや、うまく言えないので、うまく伝わったかどうか。

貴君のアメリカ論を読んで、まだまだ話すべきことが沢山、こころの中から湧いて出て来るのだ。あの国立の夜々、朝まで貴君の部屋で言葉を交わしたことなどが。右翼も左翼もない、混沌とした素晴らしい、今の時代である。

先日、これも貴君にはメールで、大震災のあと話をした、天皇陛下は京都の御所にお遷へりになるがいいという論を、ある場所で発表したら、大きな共感を呼び起こしました。以下に、そのレジュメのURLを、わたしの真意を貼付するので、これもお読み下さると嬉しい(第二次王政復古を唱ふ:http://word-eyes.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html)。貴君と話すと話がつきないよ、西村よ。

では、また、

貴君のご活躍を祈る。


岩田

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