城について
何故わたしは城の写真を見る事に全く飽きることがないのだろう。
今わたしが、ここ最近、開かずとも眺める城の写真を掲げることにしよう。
最初の城は、高い山の山上にある。山上にあるだけではなく、巌と一体となって、その中から生えているような城である。このような城に、わたしは限りない愛着を覚える。それは、何故であろうか。
また、次の城は、海に接していて、断崖絶壁の、ぎりぎりの場所に立つ城である。このような城にも、わたしは愛着を覚え、眺めて飽きることがない。これは、何故であろうか。
最近、安部公房の好きだったリルケの詩のひとつ『涙の壷』について考えていて、この詩人が『ドゥイーノの悲歌』の最初の詩行を霊感によって授かった場所が、やはり海に望む断崖絶壁であり、更に加えて、そこに城が立っていて、その城の庭の中で、そのことが起こったということに、実は深い意味があるのではないかと思った。
わたしたちは、このような場所に、実は、立っているのではないか?
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